【ネタバレなし感想】映画『最後の決闘裁判』

まず最初に。この映画は、じっくり考えさせられる物語が好きな人にとっては、間違いなく傑作の一つです。
一方で、スカッとしたい時や疲れている時に観るような、気軽なエンタメとは少し違うので、そこだけご注意くださいね。
あなたの貴重な週末が、最高の映画体験になるためのヒントです。

目次

作品情報

タイトル:最後の決闘裁判(原題: The Last Duel)
監督:リドリー・スコット
脚本:ニコール・ホロフセナー, マット・デイモン, ベン・アフレック
主なキャスト:マット・デイモン, アダム・ドライバー, ジョディ・カマー, ベン・アフレック
上映時間:153分

あらすじ

中世フランス。騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴える。無実を主張するル・グリ。真実の行方は、神に裁きを委ねる「決闘裁判」で決することになるが、それはマルグリット自身の命も懸けた、あまりにも過酷な決断だった。

ネタバレなしの魅力3つのポイント

1. 『羅生門』スタイルで描かれる、食い違う「3つの真実」

この物語の最もユニークな点は、一つの事件を「夫の視点」「被告人の視点」「妻の視点」という3つのパートに分けて描いていることです。同じ出来事のはずなのに、それぞれの立場やプライドによって、見え方(真実)が全く異なってきます。「誰が嘘をついているのか?」ではなく「誰の真実が、真実なのか?」――観ているこちらも、否応なく事件の目撃者にさせられてしまいます。

2. これは、現代を生きる私たちへの問いでもある

舞台は14世紀のフランスですが、物語が問いかけるテーマは非常に現代的です。特に、ジョディ・カマー演じる妻マルグリットの視点で描かれる第3章は、現代社会が抱える問題にも鋭く切り込んでおり、深く考えさせられます。ただの歴史劇では終わらない、普遍的なメッセージがこの映画の核となっています。

3. 息を呑む、圧巻の決闘シーン

さすがはリドリー・スコット監督。物語の結末を決する最後の決闘シーンは、泥臭くもリアリティに溢れ、凄まじい迫力です。単なるアクションではなく、登場人物三人のすべての想いがぶつかり合う、まさに「魂のぶつかり合い」として描かれており、最後まで目が離せません。

こんな人におすすめ

  • 考えさせられる重厚な映画が好き
  • ただの勧善懲悪では物足りない
  • 人間のプライドや尊厳を描く物語に惹かれる
  • 本格的な歴史サスペンスが見たい

※この先は、物語の核心に触れる可能性があります。未視聴の方はご注意ください。

【感想】誰の視点が真実に近いのか?

事件までの流れを騎士ジャン・ド・カルージュ、従騎士のジャック・ル・グリ、妻のマルグリットの3つの視点から描いていて、視点の違いや解釈の違い(例えば、夫視点だと「戦しか知らず世渡り下手で、妻思いの夫」と描かれているが、妻視点だと「プライドが高く乱暴で束縛の強い夫」と描かれている等)で、見えてくる事実が変わっていくのが面白い点です。

男性の視点ではプライドや自惚れといった主観が入るのに対し、女性の視点では客観的な事実が多く描かれており、私はマルグリットの視点が最も真実に近いのではないかと感じました。女性の尊厳が認められていない時代に、偽証の罪で火あぶりにされるリスクを背負ってまで真実を貫いた彼女の強さには、胸を打たれます。

視聴方法

現在、「ディズニープラス」の見放題対象作品になっています。(2025年10月時点)

予告編 / 予告動画

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