この漫画は、「強さ」に一番リアルな新選組漫画という言葉に通り、通常の新選組漫画とは異なり、新選組の隊士たちが「最強の敵(ツワモノ)」について語る、というオムニバス形式で物語が進みます。
ただし、物語の終盤(7巻以降)から作風が変わり、実際の戦いである「池田屋事件」になります。その為、編序盤の魅力だった「リアルな剣術路線」から「少年マンガ的な展開」になっていき、最後は打ち切り感が強く残る形で終わってしまいます。
作品情報
タイトル:ツワモノガタリ
漫画:細川忠孝
監修:山村竜也
出版社:講談社
巻数:全8巻(完結)
あらすじ
これは、新選組の一般的な歴史物語ではない。 隊士たちが戦いの中で出会った、忘れられない「最強の相手」について、一人、また一人と語り合う――。 沖田総司が語る最強の敵は、初代筆頭局長・芹沢鴨。 藤堂平助が語る最強の敵は、人斬り・田中新兵衛。 斎藤一が語る最強の敵は、我流の剣・河上彦斎。 彼らの口から語られる「本物の強さ」とは何か? 史実と剣技のリアルな解釈で描かれる、新・新選組奇譚。
各巻で語られる「ツワモノ」たち
物語は主に以下の対戦カードを中心に、オムニバス形式で進んでいきます。あなたの好きな志士は誰と戦うでしょうか。
・1〜2巻: 沖田総司(新選組) vs 芹沢鴨(新選組)
・2〜3巻: 藤堂平助(新選組) vs 田中新兵衛(幕末四大人斬り)
・3〜4巻: 原田左之助(新選組) vs 高杉晋作(幕末のカリスマ)
・4〜5巻: 斎藤一(新選組) vs 河上彦斎(我流)
・6〜7巻: 土方歳三(新選組) vs 坂本龍馬(幕末の英雄)
・7〜8巻: 池田屋事件編(実際の戦い)
1.「本物」の剣術。リアルな流派の解説が熱い!
この漫画の最大の魅力は、各道場への取材に基づいた圧倒的な「剣術のリアルさ」です。沖田の「天然理心流」と芹沢の「神道無念流」はどう違うのか? 沖田の「三段突き」の本当の意味とは? その解釈は、他のどの作品よりも説得力があり、剣豪としての強さに深みを与えています。
2.最強の「芹沢鴨」がここにいる!
多くの作品で、芹沢鴨は「酔って寝込みを襲われる」という描かれ方をされがちです。しかし、この作品の芹沢は違います。「最強」の名にふさわしい実力者として描かれ、沖田総司と真っ向から死闘を繰り広げます。この二人の戦いの決着と、そこから生まれるエピソードは必見です。
3.斬新なキャラクター解釈
この作品は、キャラクターの描き方が一味違います。例えば藤堂平助は、よくある「元気な少年」ではなく、「生まれついての合理主義者であり人斬りの天才」として描かれます。こうした既存のイメージを覆す斬新な解釈が、物語に緊張感と面白さを加えています。
- 全8巻でサクッと読める、骨太な名作を探している
- 新選組が好きで、いつもと違うリアルな解釈を読みたい
- 剣術や流派の「理屈」や「解説」にワクワクする
- 高い画力で描かれる迫力あるバトルが読みたい
- 物語には完璧な「結末」を求めている(打ち切り感が苦手な人)
※この先は、物語の核心(特に終盤の展開)に触れる可能性があります。
【感想】最後まで、あの路線で読みたかった!
この作品、本当に残念なのが6巻の土方歳三vs坂本龍馬編あたりから、良くも悪くも「少年マンガ的」な展開になってしまうことです。
序盤の魅力だった「リアルな剣術の理屈」が薄れ、最後の池田屋事件編ではその傾向がさらに加速。ラスボスであるはずの桂小五郎vs近藤勇の戦いも、消化不良なまま終わってしまった「打ち切り感」は否めません。
序盤〜中盤があれほどまでに素晴らしかっただけに、「このまま最後まで、隊士たちが最強の敵を語り合うオムニバス形式で通してほしかった!」と、惜しまずにはいられません。
とはいえ、序盤〜中盤(特に沖田vs芹沢編)は、他の追随を許さないほどの傑作です。「不完全燃焼な結末を許容できるなら、読む価値は絶対にある」と断言できる、素晴らしい作品でした。
視聴方法
全8巻完結済み。各電子書籍ストアなどで、一気読みが可能です。
詳細は講談社のHPよりご確認ください。
